新庄商工会議所(山形県)が県や民間企業の協力を得て商品化を進めてきた産業観光ツアーが、仙台市立仙台青陵中学校(宮城県)の修学旅行に初めて採用され、10月21日に同校の2年生135人が参加して行われた。同ツアーは、森林資源の循環活用を目指す山形県の「山形森林(モリ)ノミクス」の取り組みを学ぶ旅。生徒らはバイオマス発電所や製材所、苗圃(ほ)場などを訪れ、見学・作業体験を行った。
山形県は県土の72%が森林であることから、森林資源を活用して雇用創出や地域活性化につなげる取り組みを行っている。これを背景に、同所は観光需要創出のため産業資源を活用した滞在型観光プランを開発しようと、日本商工会議所の「地域力活用新事業∞全国展開プロジェクト」を活用、2018年から2年にわたり調査研究、モニターツアーなどを実施してきた。
このモニターツアーについて宮城県や首都圏のエージェントと商談を行ったところ、JTB仙台を通じて同中学校の修学旅行に採用された。バイオマス発電や林業など環境や地域の暮らし、自然を体験する内容が修学旅行にふさわしいこと、コロナ禍により旅行先としての近県への関心の高まりも採用の理由だ。
1泊2日の修学旅行の初日、生徒らは、もがみ木質バイオマス発電所でその仕組みや意義について説明を受けたほか、製材所、苗圃場、植林場を見学。スギの植林作業も体験した。生徒からは「環境を守るために、できることを考える旅にしたい」などの感想が聞かれた。
ツアー実施に当たっては〝持続可能な地域の受け入れ体制〟を検討。無料が当たり前だった工場見学を有料とし、地元エージェントにも手数料が入る仕組みをつくった。同所は「無理なく継続的に観光を受け入れられる仕組みがあれば、地域資源を活用した観光商品の展開には大きな可能性がある。修学旅行の問い合わせも増えており、今後もPRしていく」と話している。
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