引っ越しや転職で健康保険が変わったため、新しい健康保険証が届くまで待たされたことはありませんか。退院時に窓口で多額の治療費を請求され、慌てて治療費を工面して支払ったことはありませんか。
また、初診で訪れた病院で「過去にどのような薬を服用されていましたか」と聞かれ、正確な薬の名前を答えられなかったことはないでしょうか。
こうした不便、不安を解消することを目的として、来年3月から皆さまのマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにします。もちろん、従来の健康保険証もそのまま利用できますが、マイナンバーカードでは、従来の健康保険証でできなかった機能も追加されるため、医療機関にかかる皆さまの利便性が高まります。具体的なメリットは、主に三つあります。
主な三つのメリット
第一に、引っ越しや転職で健康保険が変わっても、ご自身のマイナンバーカードを健康保険証として利用でき、新しい健康保険証が来るまで待つ必要はありません。お子さまの場合でも同様です。※新しい医療保険者への加入の届け出は引き続き必要です。
第二に、マイナンバーカードを通じて、保険者に自分の限度額の情報を医療機関に伝えることで、保険者に高額療養費の限度額適用認定の申請をする必要がなくなります。
第三に、マイナンバーカードであれば、ご自身の過去に使用した医薬品や注射の情報を医療機関に伝えることができるようになります(2021年9月以降の診療の薬剤情報について、翌月から提供できます)。
このように、医療機関への受診がマイナンバーカードで便利になる一方で、皆さまの個人情報について不安になる人もいると思いますので、どのような仕組みなのか説明します。
マイナンバーカードにはICチップが付いています。クレジットカードに付いているものと同じような機能です。このICチップには、真の保有者を証明する仕組みとして、真の保有者しか知らない情報(数字4桁の暗証番号)が入っており、この暗証番号を入力できた者に対し、その者の情報を返すようになっています。マイナンバーカードには高額療養費の限度額や医療情報は一切入っていません。マイナンバーカードについているICチップで本人確認ができた場合に限り、データベースに入っている本人の医療情報を返すのです。要するにクレジットカードの本人確認と同じ機能です。
また、医療機関の受診時は、体調が悪いこともあり、4桁の暗証番号を入力することが難しい場合もあります。そのため、マイナンバーカードを保険証として利用する際、4桁の暗証番号ではなく、顔の認証で本人確認をする仕組みも設けています。
21年3月より、マイナンバーカードで受診できる医療機関を順次増やしていきます。デジタル社会でのマイナンバーカードの利用拡大の一つとして、ぜひ、健康保険証としてご活用ください。
(厚生労働省保険局医療介護連携政策課長 山下護)
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