政府では、社会保険・税手続きのオンラインワンストップサービスの取り組みを推進することとしている。2020年11月から「社会保険・税手続きのオンラインワンストップサービス」(以下、「社保税OSS」という)の運用を開始した。
社保税OSSでは、健康保険組合(以下、「健保組合」という)に対する電子申請も対象とし、2020年11月からは、事業主がどの健保組合に加入していても電子申請が可能となった。
社保税OSSにおける健保組合への電子申請の仕組みであるが、図で示すとおり、事業主は主に自社が利用する人事・給与システム(以下、「人給」という)からマイナポータルを経由して申請する仕組みとなっている。なお、利用する人給にはマイナポータルと連携するための「申請機能」が必要であるため、使用する人給が対応するソフトかは事業者に確認いただきたい。
電子申請では、これまで電子証明書の添付が必要であったが、費用負担が生じることが電子申請に移行しない理由の一つと認識されていた。社保税OSSでは、既存の電子証明書のほか、無償で取得できるGビズID(経済産業省が整備した、一つのID・パスワードで複数の行政サービスにアクセスできる事業者向け認証サービス)による認証も可能としている。
15の手続きで可能に
健保組合が受理可能な届け出は適用関連の15の手続きとなっている。このうち、五つの手続きについては、日本年金機構の「届書作成プログラム」により作成されたデータ(KPFD様式)を添付して電子申請することが可能となっている。これ以外の手続きは、所定の様式を添付して電子申請することとなる。なお、健保組合によっては、健保組合側のシステム改修を終えていないことを理由に一部の手続きの受理ができないため、事業主は電子申請の開始前に健保組合へ確認されたい。
社保税OSSの運用開始に併せ、健保組合に加入する資本金1億円超の企業については、一部の手続きに係る電子申請の義務化も始まった。ただし、現在のコロナ禍の影響を踏まえた電子申請の猶予も個別に判断されているので、コロナによる影響で電子申請ができない状況にある事業主は、健保組合に相談されたい。
電子申請は企業の規模にかかわらず誰でも利用できる仕組みである。テレワークにもマッチした電子申請の利用を検討いただきたい。
(厚生労働省 保険局保険課)
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