体に何らかの自覚症状がないと、得てして病院には行かないものです。しかし、生活習慣病のように初期にはほとんど自覚症状がないまま進行し、やがて深刻な病気へと変化していくものは少なくありません。そうしたさまざまな病気の芽を早期発見するために役立つのが健康診断です。今の自分の健康状態を知る重要な手立てとなり、早期治療、病気を予防することにつながります。
さて、健診結果が返ってきたらどうしていますか。健康維持に役立てるには、何より"受けっぱなしにしない"ことが肝心です。各検査項目の自分の数値と判定結果を確認し、何らかの指示があればそれに従うのが基本です。例えば、「要再検査」と記載があったら、次回の健診までに状態が悪化する恐れがあることを意味します。「要再検査6カ月」なら6カ月後までに、「要再検査3カ月」なら3カ月後までを目安に再度検査を受けましょう。人間ドック学会では、2022年4月から「要経過観察」の判定を「要再検査・生活改善」に改訂しました。経過観察だと、結局次回の健診まで何もしないことがよくあるため、取るべき行動を明示することになったのです。
検査項目の数値が基準値内であれば「異常なし」と判定されますが、検査数値と健康状態は必ずしもイコールではないため、過去の健診結果と比較することをお勧めします。基準値内であっても数値が年々上昇していたり、低めだった数値が急に上がったりなどの変化はありませんか。特に中高年世代は生活習慣によるツケが体に蓄積し、数値を悪化させる要因になりやすいのです。そのため毎年の健診結果を保存し、経年変化をチェックすることが生活改善に有効となります。
また、数値は異状なしでも、がん(悪性腫瘍)が潜んでいる可能性も否定できません。体調で気になる点がある、自覚症状があるという場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
せっかく受けた健診です。その結果を日々の生活改善や必要な治療を受けるきっかけにして、健康維持に大いに活用してください。
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