上州名物といえば“かかあ天下と空(から)っ風”だが、私にとっては、大好きな大前田英五郎や国定忠治を生んだ“渡世人たちの故郷”のイメージが強い。初めて「旅がらす」を手に取ったときも、袋に描かれた刀のイラストと三度笠に見えるせんべいの形ににんまりしたものだ。
1958(昭和33)年に誕生。東京タワーと同じ61歳だ。鉱泉水入りの鉱泉せんべいにバタークリームを挟んで売り出した途端、爆発的な人気となり、発売2カ月後にはレモン、チョコレート味を追加。現在では黒ごま、抹茶、ブルーベリー味も加わり、計6種類の味が楽しめる。
くせになる味だ。サクサク系の菓子が多い昨今だが、パリパリとした食感が気持ち良い。何度かじっても爽快だ。その後で、ジワリと口の中に広がる優しいクリームの甘さ。強く主張してこないが印象に残るクリーミーさがたまらない。
「旅がらす」の名前は、日本神話の神武天皇東征の際、熊野を道案内した伝説の“八咫烏(やたがらす)”にちなんだものとか。食べれば霊験あらたか間違いなし。社長の糸井義一さんは、群馬県警刑事部長を務めあげた異色の経歴の持ち主。「旅がらすの良い進化を求めて奮闘中!」だ。
Data
社名:株式会社旅がらす本舗清月堂(たびがらすほんぽせいげつどう)
所在地:群馬県前橋市新堀町399-6
電話:027-265-5111
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