水虫は、真菌の一種である白癬(はくせん)菌によって起こる感染症です。正式には白癬といい、足にできるものを足白癬、爪にできるものを爪白癬といいます。
日本の国民病ともいわれる通り、水虫を有する人は5人に1人、約2500万人にも上ると推計されています。男性に多いイメージがありますが、近年では特に若い女性にも増えていて、男女差はほとんどありません。
水虫は家庭内感染が多く、白癬菌を含んだ足拭きマット、スリッパ、タオル、床や畳などを介して菌が付着します。家庭以外でもスポーツジムやプール、試着室などにもリスクがあります。直ちに感染はしませんが、菌の一部が皮膚に残るとやがて感染・発症します。
一般的に、白癬菌は高温多湿を好むので夏になると増え、菌が皮膚の角質の下まで増殖すると、水ぶくれやかゆみなどの症状となって現れます。逆に、乾燥する秋以降は菌の量が減っていくので、冬は症状が出にくくなります。とはいえ、菌は残っていることが多いので症状がぶり返し、なかなか治らない要因となっています。
完治を目指す場合は、まず皮膚科できちんと診断をつけてもらい、症状に合った治療を行うのが最善策です。基本は外用薬を塗ることですが、患部以外にも菌が潜んでいることがあるので、足の裏全体や指と指の間にまんべんなく塗るのがポイントです。冬になって症状がなくなっても勝手にやめたりせず、医師の指示に従って根気よく治療を続けましょう。
家庭でのケアで大切なのは、足を清潔に保つことです。自宅に戻ったら足を洗って菌を落とす習慣を付けると良いでしょう。また、毎日同じ靴を履かないこと、足拭きマットやスリッパなどは家族でも共用しないことも有効です。また、水虫の民間療法で足を酢に漬ける、薄めた漂白剤に漬けるといった方法を聞きますが、健康な皮膚を傷めたり、かえって菌を広げたりしてしまう恐れがあるのでお勧めできません。
これから菌が増殖しやすい季節になります。毎年水虫に悩まされているという人は、早めに治療を始めるのが完治への近道です。
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