春になると、くしゃみや鼻水、目のかゆみに悩まされる花粉症。これは体が花粉を外に追い出そうとする防御反応でもあります。花粉が鼻や皮膚に付着すると、体の免疫システムはそれを“敵”と認識し、IgE抗体をつくります。再び花粉が入ってくると、IgE抗体と結びついた肥満細胞(免疫細胞の一種)からヒスタミンなどが一気に放出され、炎症症状が突然起こるのです。これは、体内に蓄積されたIgE抗体が一定量を超えると反応が一気に起こるためと考えられています。
では、なぜ症状が重くなる人と軽く済む人がいるのでしょうか。鍵を握るのが、自律神経と腸内環境です。ストレスや睡眠不足などが続くと自律神経のバランスが乱れ、免疫が過剰に反応しやすくなります。また、免疫細胞の約7割が集まる腸の環境が悪化すると、腸のバリアー機能が低下してアレルゲンが体内に入り込みやすくなります。さらに自律神経と腸内環境は相互に影響し合う関係なので、どちらか一方の乱れが、もう一方の不調を招く悪循環に陥りやすいのです。
症状が強い場合は、点鼻薬や抗ヒスタミン薬、舌下免疫療法など、医師に相談することをお勧めしますが、生活習慣を見直すことでも症状の軽減は期待できます。まず意識したいのは、十分な睡眠と規則正しい生活。リラックスできる時間をつくり、体を冷やさない工夫をすることで自律神経のバランスが整いやすくなります。食事では腸の善玉菌を増やす、ヨーグルトや納豆、みそなどの発酵食品や、野菜、海藻、きのこ類などの食物繊維をしっかり取ることが大切です。便秘を放置せず、適度な運動で腸の動きを促すことも、免疫機能を整える助けになります。
こうした体調管理は花粉症だけでなく、風邪をひきにくくなる、睡眠の質が上がる、気分が安定するといった良い変化を生むことも少なくありません。冷えや慢性的なストレスは多くの不調の誘因になるため、花粉症対策をきっかけに体全体の調子が底上げされるケースもあります。
花粉症で春が憂鬱(ゆううつ)になりがちですが、視点を変えれば「体をいたわる季節」とも言えます。体と相談しながら共生していく。その姿勢が、心地良い春を取り戻す第一歩になるのではないでしょうか。

