今年7月の「国際観光旅客税」の値上げとともに各地で「宿泊税」の導入が相次いでいる。背景には訪日外国人客の増加による「オーバーツーリズム」の弊害と、観光による集客を確実に地域の収入増につなげ、地域活性化を図りたいという地域側からの要請がある▼
2025年の訪日外国人は4270万人。過去最高を更新した。消費額は9.5兆円。1人当たり約23万円を消費している。観光で外貨を稼ぐことはもちろん歓迎である。しかし問題は、この9.5兆円の外貨が混雑や物価高を被っている地域やその住民にきちんと還元されているかどうかである。住民から見れば、観光客が増えるほど混雑が増し、宿泊費や家賃が上がり割を食う。地域住民は得をしないのであれば「観光」は嫌われ者になり、「観光立国」は空洞化する▼
これは激しいオーバーツーリズムで揺れた欧州諸国でも大きな課題となった。世界最高水準の宿泊税12.5%のアムステルダムは、この収入を市の財源として公共サービスや文化財保護に充てた。入市税1人当たり5ユーロを導入したベネチアやバルセロナも同様である。根底には、「観光客には住民が負うコストを払わせる」という思想がある。観光客が増えるほど住民サービスの財源が増えれば地域は観光客を歓迎する▼
日本でも02年に東京都、次いで17年に大阪府が導入。今年3月には京都市が最高1万円という高い税額を設定、民泊法の民泊も対象施設とした点が大きな注目を集めた。すでに金沢市、福岡市、北九州市をはじめ、昨年から今年にかけて多くの地方都市が次々と導入を始めている。観光の目的は地域を活性化させることである。この原点を忘れず、観光立国戦略を推進してほしい
(観光未来プランナー・丁野朗)