日に日に気温が下がり、空気が乾燥してくると、細菌やウイルスによる感染症が流行し始めます。中でも厄介なのがインフルエンザです。感染力が強い上に潜伏期間が1~2日と短く、発症前から他人にもうつります。そのため、いったん流行すると急速に感染が広がり、患者数は例年約1000万人にも上るといわれています。「感染しない、させない」ためにも、一人一人が今のうちから予防を心掛けることが大切です。
基本となるのは、うがいや手洗いを小まめに行うことです。そしてワクチンも接種しておきましょう。体内に抗体がつくられるまでに2週間ほどかかるので、流行する前に受けておくのがポイントです。
さらに近年、口腔(こうくう)ケアも重視されています。口の中にはさまざまな細菌がいて、それらが出す酵素にはインフルエンザウイルスを粘膜に侵入しやすくする働きのあるものがあります。しかもウイルスの増殖を助ける作用もあるといわれているので、口の中を不潔にしていたり、歯周病の炎症があったりすると、感染リスクが高くなります。つまり、口腔内の細菌をいかに減らして清潔に保つかが、予防効果を大きく左右するわけです。
そこでまずは、歯磨きを徹底しましょう。毎食後に歯を磨く習慣の人も多いですが、まずは起床時と寝る前に念入りに磨くようにします。特に細菌は寝ている間に増殖しやすいので、朝起きたら念入りに磨くクセをつけるといいでしょう。
歯ブラシの届かない歯間や歯と歯茎の境目の汚れには、歯間ブラシやフロスを使うと便利です。毎日でなくてもかまいませんが、定期的に行って、細菌の塊ともいえる歯垢(しこう)を取り除きましょう。さらに、舌の表面や口腔粘膜の汚れは、マウスウォッシュなどで殺菌し、洗い流すのがお勧めです。
少し面倒に感じるかもしれませんが、口の中がスッキリすると気分もいいですし、何よりインフルエンザ予防に威力を発揮します。
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