新潟県新潟市秋葉区の一部(旧新津市)の子どもたちのたまり場「駄菓子や 昭和基地一丁目C57(しごなな)」と京都市で開催された企業と学生の交流の場「YEGフィールド」。地域や事業内容は異なるものの、両事業ともに「場」の提供で、YEGメンバーの未来につなぐ思いを形にした。
「駄菓子や 昭和基地一丁目C57事業」(新津YEG)
「駄菓子や 昭和基地一丁目C57事業」は、新津商工会議所青年部(新津YEG)のメンバーたちが、2009年度に開催した『北陸信越ブロック大会 新津大会』の勢いをまちおこしに生かせないかと考え、空き店舗を利用した新規事業として始まった。
空き店舗の場所は、旧市役所庁舎など古い建物が多く残る地区。人通りも少なく寂しいこの場所を子どもたちの明るい声があふれる憩いの場にしたいと考えた。建築業、水道関係、大工など、さまざまな業種のプロの集合体であるYEGの利点をフルに活用して、元々は倉庫だった物件を補修・改築し、駄菓子屋を完成。翌年(2010年)の7月にオープンした。
店名は、鉄道で栄えた新津のシンボルであるSLにちなんで「駄菓子や 昭和基地一丁目C57(しごなな)」。「C」はCommunityやCommunication、「57」は粉モン(お好み焼きやたこ焼きなど)を表す。昔なつかしい“粉モン文化”を通じて、世代を超えてコミュニケーションを図ってほしいとの願いが込められている。オープン前から幅広く告知したことで、かなりの来客があり、晴れた日には1日に200人ほどのときも。オープンから2カ月が過ぎた9月初旬には、累計で1万人を超えた。しかし、駄菓子の販売だけではなかなか利益が出ず、店舗の維持という経営面を考慮して、比較的利幅がとれる食品の提供も開始した。また、同YEGメンバーが自社の業務に加えて仕入れや運営を担い、負担も生じていたことから、“正社員を雇うと人件費を補助する”という新潟県の事業補助金を利用して、人的面の充実も図った。
この駄菓子屋がオープンしたことで周辺環境も一変。横断歩道ができたり、閑散としていた市役所跡地も公園として整備された。さらに近隣に新たな店舗がオープンするなど、まちに活気が戻ってきた。
同YEGでは、この駄菓子屋を子どもたちに楽しく利用してもらうため、五つの掟と三つの禁を設けた。
<五つの掟>
一.元気に笑顔で挨拶すべし
一.仲良く楽しく遊ぶべし
一.自分でお金を払うべし
一.後かたづけをすべし
一.「ありがとう」と言うべし
<三つの禁>
一.携帯電話・携帯ゲームは使わない
一.飲食物は持ち込まない
一.タバコを吸わない
同YEG事務局の近藤雄二さんに当時を聞いた。
「小学生が他の学区の子どもたちにうらやましがられて自慢できる場所にしたいと思っていました。C57のオープン後に、他の学区の子どもたちにうらやましがられたという話を聞いて、やって良かったなと思いました」
2018年度新津YEG会長の諸橋晋太郎さんは今後の展望について「このお店がずっとあることが一番大切だと思います。週末(土日)には、約1000人のお客さまが来られます。現在、当YEGとして直接的な関わりはありませんが、新津のまち全体の盛り上がりが大切なので、今年度、次年度と引き続き一緒に盛り上げていきたいです」と語った。
「YEGフィールド」(京都YEG)
「YEGフィールド~あなたの活躍できる企業がきっとある~」が10月20日、京都リサーチパークで開催された。
この催しは、京都商工会議所青年部(京都YEG)の2018年度テーマ『信は力なり』の下、経営資源である『人(人材)』に着目して、人と人とのつながりをつくり、今後の採用活動に役立つ学びの場を提供するもの。第1部はパネルディスカッションをメインに、第2部は企業ブースの出展で構成し、78人の学生が参加した。
第1部では同YEGメンバーが、京都の中小企業の現状と仕事の魅力を熱く語った。第2部には、世界から注目されている伝統ある仕事や革新的なアイデアを生かした若手経営者の企業45社が出展。実際に当該企業に就職した先輩たちの話に加えて、学生からは仕事のやりがいや就業状況など、普段はなかなか聞くことのできない内容の質問もあった。
担当した同YEG経営資源事業ONE STEP部会の宮本康史部会長は、始めたきっかけを「少子高齢化を受け、我々中小企業は、人材確保への対策が必要不可欠です。主となる大学生の新卒採用は、中小企業にとって夢のまた夢というようにならないよう、京都の中小企業の情報を発信していこうと思ったのです」と話す。
また、この催しを支えた同YEGの阪本貴之副会長は「企業が学生と交流することで、中小企業の魅力を発信し、その取り組みや強みを周知する。さらに経営理念やビジョンを伝えることで、現在の学生がどのように考え、どのような情報を欲しているのかを聞き取ります。徹底したのは就活の話は一切しないということです。お互いの交流の場に特化したことがよかったと思います。この仕組みが、他のYEGにも波及してほしいです」と話す。
2018年度京都YEG会長の西村寛和さんは今後の目標について「今までの中で積み重ねてきたことをもっと発展させ、地域総合経済団体である商工会議所の青年部として“やれること”と“やらねばならないこと”が見えてきたと思います。そして周りを巻き込んで足りない面を充実させていくことを目指し、その先に“青年部だからできる事業だな”と言われるようにしていきます」と語った。
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