日本商工会議所の三村明夫会頭は9日、13日、14日と相次いで、梶山弘志経済産業大臣、西村康稔経済再生担当大臣らとテレビ会議形式および電話にて意見交換を行うとともに、出勤削減への協力を要請された。
三村会頭は9日に西村大臣および日本経済団体連合会の中西宏明会長と、7日に発令された新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を受け、感染拡大防止に向けた取り組みと、中小・小規模事業者への支援策などについて会談した。
冒頭、西村大臣が「7日に改定した「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に基づき、いわゆる3密(密閉・密集・密接)を避け、テレワークなどの活用により、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減し、なんとか感染拡大を防止したい」と述べた。「接触機会の低減に徹底的に取り組めば、事態を収束に向かわせることは可能である。そのためには経済界の協力が何よりも不可欠であり、ぜひともお願いしたい」との要請とともに、「強力な資金繰り支援や、持続化給付金などを通じて、中小・小規模事業者を支えていきたい」と語った。
三村会頭は、「今回の緊急事態宣言は、国民一人一人がどのように行動するのかが問われる非常に重要なもの」との認識を示し、「7日の緊急事態宣言ならびに緊急経済対策の公表を受けて、全国515の商工会議所へ直ちに内容を周知した」と報告した。続けて、「感染拡大防止に向けてテレワークは有効であるが、従業員数が300人を下回る規模の事業者では、テレワーク導入を進めていくにはまだ課題がある。また、宣言発令以降、商工会議所の窓口には持続化給付金に対する問い合わせが非常に多く寄せられている。感染が拡大する中で新たな給付金が創設されたこと自体、大きなインパクトがあった。暗い中でも将来に希望を持てるような、元気になれる政策だと思う。今後は、これをいかにハンドリングするかが重要」と応じた。
13日には梶山大臣から電話で直接要請があり、14日には中西会長、経済同友会の櫻田謙悟代表幹事と共に、緊急事態宣言の対象区域における感染拡大防止などについて、西村大臣と意見交換した。
接触機会を7割から8割削減できれば、2週間でピークアウトし、8割削減の場合は1カ月後、7割の場合は2カ月後に収束の道筋が見えるとの専門家の意見がある。それを踏まえ、両大臣から「①テレワークなどでオフィスでの仕事を原則自宅で行うこと、②出勤が必要な場合も出勤者数を最低7割減らすこと――を事業者に呼び掛けてほしい。官民一体で危機感を共有しながらこの困難を乗り越えるべく、ぜひとも産業界の協力をお願いしたい。各種施策を通じて事業継続を全力で支援していく」と依頼された。
三村会頭は、「7都府県の116商工会議所に協力依頼を行い、事業者に協力を呼び掛けている。短期間で収束させることが最大の経済対策であり、商工会議所としても協力する」と回答した。
また、「この1カ月の間に事業者に直ちに対応してもらうためには、実効性の確保が重要。テレワークだけでなく、時短勤務や時差通勤、シフト制など現場の創意工夫で接触機会を避けていくことが必要だ」との認識を示した。こうした協力企業を支援するため、雇用調整助成金のさらなる迅速な支給などを要請。政府施策を浸透させるために政府広報の拡充を求めた。
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