日商 Assist Biz

更新

テーマ別企業事例 地域も会社も潤う “農商工連携”で千客万来!

事例3 富山県のこだわり野菜をブーケにして全国に届ける 

ベジィデザイン(富山県滑川市)

レースのような葉野菜や珍しい西洋野菜、みずみずしいミニトマトなど野菜の個性を生かしてブーケに仕上げる

ベジィデザインは、富山県産のオーガニック(無農薬・有機栽培)野菜を中心に制作した「食べるブーケ(野菜ブーケ)」を富山から全国へ発送している。新鮮で彩り豊かな野菜ブーケは、見て楽しんで数日飾った後は調理できることから、二度楽しめる贅沢なギフトとして注目を集めている。このビジネスには、農家がこだわりを持ってつくっている富山の野菜を、全国の人にもっと知ってもらいたいという思いも込められている。

富山県産の野菜の魅力を多くの人に広めたい

ベジィデザイン(個人事業)代表の奥村真由美さんは、地元・富山県の出身だが、家が農家だったわけではないという。

「私の両親は旅行会社を経営していて、私はそこで働いていました。当時、富山の食や伝統を体験してもらう『着地型観光』のツアーを企画したとき、ヤーコンという野菜に出会い、見た目はジャガイモみたいなのに食べるとナシのようなシャキシャキとした歯応えであまりの美味しさに衝撃を受けました。農家さんからこれをPRしたいという話を聞き、富山県の魅力と同時に県産野菜の魅力も多くの人に知っていただきたいと思うようになったのが、会社を始めたきっかけです」と奥村さんは言う。

それから奥村さんは、さっそく野菜ソムリエの資格を取得。そして自宅の畑で野菜を栽培し始め、県内の農家を回っていった。そのなかで、カラフルな野菜や珍しい西洋野菜など、こだわりのある野菜をつくっている農家が多いことに驚き、単に富山県産の野菜を販売するのではなく、野菜ブーケにして贈り物として販売することを思いつく。そこで、フラワーアレンジやラッピングの教室で技術を学んで野菜ブーケに応用した。起業後すぐは、野菜ブーケをつくる教室の講師の仕事をしていた。

「しばらくは講座の講師として呼ばれたら行くということをしていたのですが、その数は少なく、人もなかなか集まりませんでした。そのころ、スマートフォンの普及とともに個人ネットショップがブームになり始めていて、これでやってみようと思い、2016年夏、野菜ブーケのネット販売をスタートしました」

野菜ブーケにかける思いを県内の農家に伝えていく

奥村さんの野菜ブーケにはオーガニック(無農薬・有機栽培)野菜がベースに使われている。オンラインストアを開設した当初は奥村さんの子どもがまだ小さく、安全な野菜を食べさせたいと自宅の前に畑をつくり、無農薬で野菜を栽培していたということもある。だが、野菜ブーケの販売は周囲にはなかなか理解されなかった。

「花のブーケがあるんだから、野菜のブーケが売れるわけがないと、多くの人に言われました。また、農家さんからブーケ用の野菜を仕入れようとしても、野菜ブーケがどのようなもので、どのような野菜が必要かを説明するのも難しかったです。また、ブーケに使用する野菜の大きさや茎の長さなどにこだわりがあり、自分で野菜を収穫したいとお願いしたんです。でも農家さんにしてみれば、自分の畑に他人が入って野菜を採ってほしくはないですよね。それに、ブーケに必要な野菜の量は少しなので、大量に販売したい農家さんの思いとは合致しませんでした」

奥村さんはそれでもめげず、農業者の勉強会でブーケをPRしたり、県庁の農業関係の課に相談に行き、農業者が集まる場があったら紹介する機会がほしいと頼んだりと、できることはなんでもやっていった。また、農家への訪問も重ね、富山県産野菜を使った野菜ブーケにかける自分の思いや、自分も無農薬で野菜をつくっていることを伝え続けた。

「それを理解していただくと、私も野菜好きの仲間の一人という感じで受けとめてくれる方が少しずつ増えてきました。また私のブログでブーケに使用した野菜をつくっている農家さんをご紹介したりして、少しでも農家さんのお役にたてる活動をしました」

そうして、16年8月、本格的に野菜ブーケのネット販売が始まった。

季節のイベントに合わせ野菜ブーケをアレンジ

販売を開始してすぐ、9月末には富山商工会議所主催の新商品・新サービス合同プレス発表会に参加し、マスコミにブーケをPRする機会も得た。その後、地元テレビ局の番組で敬老の日のプレゼントとして紹介されたり、情報誌でグルメなお母さんへの母の日の贈り物として紹介されたりした。これにより奥村さんの野菜ブーケが県内の農家の間で広く知られるようになっていった。

「でも、最初の半年はあまり売れませんでした。お客さまに喜んでいただける野菜ブーケをつくりたい、継続して購入いただける商品をつくりたい、そんな思いから、季節の素材を使った限定商品やリクエストに応じたカスタムデザインの対応を始めました。また、ブログやSNSで野菜を栽培している様子や野菜ブーケの写真、お客さまの声を紹介することで、東京、大阪をはじめ愛知、福岡など少しずつ全国からご注文が増えてきました。母の日の贈り物や誕生日プレゼント、ウエディングブーケ、飲食店の開店祝いなどブーケの用途はさまざまです」

注文は、県内よりも県外からが多い。インターネットで検索してベジィデザインのホームページにたどり着くケースが多いが、買った人が口コミで広めたり、受け取った人が自分が誰かにプレゼントするために注文してくれたりすることも多い。このように販売数が増えていくにしたがって、地元農家との協力関係も広がっていった。

「冬季になると雪国富山では、カンカン野菜と言われる、かぶ、にんじん、プチヴェール、オータムポエム、ヤーコンなどの野菜が甘くておいしい季節になります。富山の気候だからこそできるおいしい野菜も、野菜ブーケを通じてこれからもっと全国にPRしていきたい。これによって富山県の農業に少しでも貢献できたらと思っています」

富山県産野菜を使った野菜ブーケは、こだわりを持って野菜をつくっている富山県の農家の思いも全国に運んでいく。

会社データ

社名:ベジィデザイン

所在地:富山県滑川市

電話:090-5684-0541

代表者:奥村真由美

従業員:個人事業

HP:http://veggydesign.jp/

※月刊石垣2020年5月号に掲載された記事です。

次の記事

株式会社WORK SMILE LABO/株式会社岡部

日本をはじめ世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス禍によって、大小を問わず‶職場閉鎖〟の危機に見舞われた企業も多い。そこで、職場内の感染予防とBCP(事業継続計画…

前の記事

株式会社ベルスター・スズキ/株式会社せんねん/株式会社沖縄債権回収サービス

新たな経営戦略として注目を集めている「健康経営」だが、“どこから手をつけていいのか分からない”と二の足を踏んでいる経営者も多い。しかし、自社に適した「健康経営」を採用…

関連記事

札幌商工会議所/大阪商工会議所/岐阜商工会議所/近江八幡商工会議所

未だ収束が見えないコロナ禍は、日本社会や経済に甚大なダメージを与えている。この窮状を打破するため、全国515の商工会議所は一斉に動き出した。地域の企業や地域の特色・状…

西光エンジニアリング株式会社

BCP(事業存続計画)本来の意味は、企業を存続させて、雇用と顧客を守るということである。自然災害の多いわが国の場合は、BCPについて、災害から社員や社屋・施設を守る防災計…

釧路駅西商店街振興組合/中町商店街振興組合

人口流出や郊外型の大型ショッピング施設などに押されて、苦境に追い込まれている地方の商店街も多い。しかし、そのまちの特色や地域の名産を生かし、見事に復活した商店街もあ…