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事例6 輝く女性が明日の福島の活力になる

株式会社クリフ 代表取締役 石山 純恵さん(福島県福島市)

多言語翻訳、研修、事業委託、コンサルティングなどソフト面からの経営支援ビジネスで、飛躍的な成長を遂げているクリフ。代表取締役の石山純恵(すみえ)さんは、平成25年に、全国商工会議所女性会連合会主催「第12回女性起業家大賞」の最優秀賞に輝いた。石山さんは、なぜ起業を志し、どのようにして事業を発展させてきたのだろうか。

クリフ代表取締役石山純恵さん。国際結婚、離婚を経て起業した。2児の母

職がないなら自分でつくる

「コミュニケーションを通して地域や企業の発展に貢献する会社と思ってください」と石山さん。社名のクリフ(CRF)はコミュニケーションの「C」、ルネサンスの「R」、福島の「F」から名付けた。つづりは異なるものの、英語で「崖」という意味にもなる。「何事も崖っぷちに立つ思いで精進する。その決意も込めています」と言う。

起業のきっかけは離婚。2人の子どもを抱えて就職先を探したが、どこも不採用。なかなか働き先が見付からなかった。

「あるとき、面接先の社長に『なぜ私は採用されないのでしょうか』と聞いたら、『君は自分で何かを築き上げる人かもしれないよ』と。そう言って、紹介してくれたのが福島駅西口インキュベートルーム(福島県起業支援室)でした」

職がないなら自分で仕事をつくるしかないと気持ちが切り替わった。自分に何ができるのか。考えた末、得意の英語力を生かそうと思った。そして平成20年2月、企業向けの英語研修と翻訳を軸とした会社を設立する。

「地元の企業、工場に自ら営業し、社員対象の英語研修をしていました。そんな中で、聞こえてくる社員の声を集め、データ化。そこから、それを眺めて問題点や解決策を見いだし、会社へ企画提案してみたのです。これが結果的に、英語以外の研修企画やコンサルタント業務の始まりとなりました。お客さまのニーズとウォンツに一つひとつ応えていくうちに自然に事業内容が広がっていきました。事業内容は多岐にわたりますが、全て人と人のコミュニケーションという軸でつながっているんです」

品質とスピードに徹底的にこだわる

現在は、事務・事業の委託、研修、講演、多言語翻訳、銀行や総合病院での人材育成に関わり、コンサルティングフェローとしての受託もし、幅広い事業を展開している。社員も創業当初は石山さんだけだったが、今では9人に増えた。売上も順調に推移し、毎年右肩上がりだ。その急成長のポイントは納期と品質である。

「例えば、翻訳は他社が3日かかるならうちは24時間以内に納品する。もちろん、お客さまが期待する以上の出来に仕上げる。料金は他社より高めですが、それでも高品質なものをハイスピードで納品する弊社に依頼をくださる企業が多い。つまり品質と迅速な対応に徹底的にこだわってきたことが良かったんだと思います」。特に東日本大震災以降、福島第一原発の事故の影響により、福島では国際会議が増え、翻訳の依頼が急増した。そこで石山さんは資料翻訳だけでなく、会議に随行して議事録をまとめるサービスも開始している。

「その都度、今どんなサービスが求められているのかをゆっくり、じっくりと考えます。でも行動は早い。やると決めたら即実行です」

創業当時から人脈づくりも怠らなかったと語る石山さん。福島商工会議所や行政、大学、団体などの講演会やセミナーに足しげく通った。そこで出会った人と名刺交換をして24時間以内に必ずメールを送る、直接訪問するといった地道な営業活動を重ねた。また、福島市から福島市行政改革アドバイザーを委嘱されたことで、新たな世界が広がったという。企業界、学界、官界への人脈は今のクリフの基盤になっている。さらに、女性の起業家支援や雇用創出、人材育成、そして教育にも力を入れている。「うちの女性スタッフもそうですが、子育てを終えて社会で再び働き始めると、見違えるほどいきいきときれいになる。多くの輝く女性が明日の福島の活力になる。だから私は働く女性を応援し続けたい」。

「ピンチはチャンスだから頑張ろう!」とよく言われるが、石山さんはそういう「きれいごと」をあまり信じていない。

「困難を乗り越えたときに明るい未来が待っている。確かに、その通りなのですが、困難の真っただ中にいるときには、そうは思えません。むしろ、逃げ出したくなったり、蓋(ふた)を閉じたいと思うのが正直な気持ち。でも、目の前にある現実をしっかりと見つめ、できること、やらなくてはいけないことに集中して行動することが重要です。それが困難から目を背けないことだし、立ち向かう、ということだと思っています。そうしているうちに困難を乗り越えられる気がします。現実を見つめて自分で考える、そして行動できる人間を育成したい。だから、将来を担う子どもの教育にも力を入れたいです。私はこれからも自分の故郷である福島で明るく頑張っていきたいと思います」

自分の経験を元にした凛(りん)とした佇(たたず)まい。涼しげな笑顔の奥にある情熱は、話すほどに溢れ出てくる。こんな女性経営者が増えたら、福島も日本も間違いなく元気になるはずだ。

会社データ

社名:株式会社クリフ

住所:福島県福島市新町6-35 コープマート新町2F

電話:024-531-8120(代)

代表者:石山純恵 代表取締役

従業員:9人

※月刊石垣2015年1月号に掲載された記事です。

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