ピンがグリーンの手前に切ってあると、ロブショット(※1)でピタリとボールを止めたくなります。スコアが100前後の人は、どうしてもピンを直接狙っていきやすいので、ロブショットを打ちたくなるものです。しかし、20ヤード先のピンの根元にピタッと止めるボールを打つのは、極めて難しいのです。だったらボールを空中に浮かせず、地上を転がしていけばいいと指導すると、アマチュアゴルファーからは、「ピンが手前すぎると、ボールを転がすスペースがない」と言われてしまいます。
しかし、考えてみてください。ボールを直接グリーンに落とさなければならないという決まりなんてありません。残り20ヤードで、ピンがエッジから5ヤード以内に切ってある状況というのは、プロゴルファーでもグリーンに直接落としてピンにからめるのは難しいのです。そんなときは、グリーン手前に1クッションか2クッションさせて、転がし上げればいいんです。もちろん、手前にハザード(※2)や深いラフがあるときは、この手は使えません。
こんな公式があります。それは、エッジからピンまでの距離(A)が、ボールからエッジまでの距離(B)の半分以下の場合は転がすというものです。残り30ヤード以内の場合は、この公式を使ってグリーンの手前に落として転がし上げると覚えておいてください。確実性が大きく増すはずです。
そのほかにも「地上戦」に持ち込む方がいい場合を列挙しておきます。ピンが近いのにグリーンが速い場合、ライ(芝や砂の状況)が悪くてボールを上げられない場合、グリーン奥からピンが近い場合、直接グリーンに落とすとボールが止まらない場合。こういうときには、手前から転がすことを考えるといいと思います。
※1 短い距離のショットでボールを高く、ふわっと上げて打つときのショット ※2 バンカー(砂のくぼみ)や池などのコース内にある障害地のこと
イラストレーション:アカハナドラゴン
最新号を紙面で読める!