〝体が硬い〟とは、関節の動かせる領域が狭いことを意味します。その原因として、関節そのものに問題がある場合や、周辺の筋肉の伸びが悪くなっている場合などが考えられます。関節や筋肉は加齢とともに劣化して働きが悪くなっていくので、何もしないでいると体は硬くなります。さらに今年は新型コロナウイルスによるステイホームも重なり、より体の硬さを感じるかもしれません。
体の中でも、特に股関節が硬くなってくると少しやっかいです。股関節は、骨盤と大腿(だいたい)骨を連結している関節で、脚を前後左右に回転させるように動かす働きをしています。この動きに制限が出てくると、あぐらがかけない、開脚ができない、足の爪を切るのがつらい、歩幅が狭くなる、若々しい姿勢や歩き方ができなくなる、階段や段差でつまずきやすいなど、日常生活のさまざまな場面で不便や支障が生じます。
また、股関節は下半身の血行にも影響を及ぼすので、股関節が硬いと脚の血行も悪くなり、脚がだるい、むくみやすい、冷えるといった不快症状が現れやすくなります。さらに股関節の可動域が狭いと、腰椎や膝の動きで代用することになるので、腰痛や膝痛の原因にもなります。
股関節の可動域を維持する、または広くするには、まず普段の生活の中で、大きな歩幅で歩く、脚を後方や側方にも動かすことを心掛けてみましょう。ストレッチを習慣にして筋肉をいろいろな方向に伸ばしていると、関節の動きはスムーズになってきます。
一方、体重が増える、重いものを持つ、マラソンやジョギングのやり過ぎなどは、股関節の軟骨や骨を痛めるので、避けるか控えめにしましょう。
もし、以上のセルフケアを行っても改善せず、激しい痛みがある場合には、変形性股関節症など病気の可能性もあるので、整形外科を受診してください。
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