貧血は病気の名前ではなく、血液中の赤血球やその中のヘモグロビンが不足することにより、血液が体全体に十分な酸素を届けられなくなった状態を指します。
貧血が起こる原因は、赤血球をつくる原料不足、血液をつくる機能の障害、過剰な出血、赤血球を破壊する病気の4パターンがありますが、中でも多いのは原料不足によるもの。特に、ヘモグロビンの原料となる鉄不足によって起こる鉄欠乏性貧血は、月経や妊娠などで鉄不足に陥りやすい女性はなりやすいといえます。とはいえ、男性がなりにくいというわけではなく、外傷や潰瘍、消化器のがん、痔(ぢ)などの出血が原因で貧血になるケースもあります。
貧血の初期には、疲労感、倦怠(けんたい)感、顔面蒼白(そうはく)、軽い運動でも動悸(どうき)や息切れなどが起こり、進行すると頭痛やめまい、筋肉のけいれんや胸痛などの症状も出てきます。ただ、徐々に進行すると体が慣れてしまい、症状が現れにくい人もいます。気付かぬまま放置すると、肌が荒れる、爪が割れる、髪が抜けるといった症状から、物忘れや記憶障害、抑うつ状態などの神経症状が出てくることもあります。また、再生不良性貧血や白血病、消化器がんなどの重篤な病気が隠れている場合もあります。
そこで思い当たる不調があれば、一度医療機関を受診することをお勧めします。健康診断などで定期的に血液検査を受けることも、早期発見には有効です。貧血やその原因が分かれば、それに応じた治療を行うことができます。
貧血の予防には、日々の食事が重要です。特に、タンパク質と鉄分、ビタミンB12や葉酸は、赤血球やヘモグロビンの原料になるので、赤身の肉、魚介類、大豆や乳製品、野菜や海藻などを毎日欠かさず食べるようにしましょう。健康のためと野菜ばかりの食事はNGです。外食では、単品より定食やコース料理を選ぶなど、常に栄養バランスを意識することがポイントです。
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