「人生100年」といわれる時代になりました。長生きは喜ばしいことです。自立した生活が送れたら、さらに豊かな人生となります。
生活の自立を妨げる筆頭に挙げられるのが、認知症です。認知症は、脳の病気や障害などさまざまな原因で認知機能が低下し、日常生活に支障が生じる状態を指します。アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などの種類があります。
年齢を重ねるほど発症リスクは高まり、現在、日本の65歳以上で認知症の人は約600万人いるとされ、2025年には約700万人、実に5人に1人がかかると予想されています。65歳未満でも、脳梗塞や脳出血などの原因で認知機能障害が起こる場合があります。つまり、誰でもなる可能性があるのです。
それを防ぐ対策として、まずは生活習慣を見直しましょう。喫煙やアルコールの多量摂取、食べ過ぎ、運動不足、肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症などの放置、睡眠不足、社会との関わりが乏しいなどの習慣は、認知症リスクを高めます。これらを改善することは、認知症予防はもちろん、健康長寿にもつながります。
認知症になる前段階で、軽度認知障害という状態があることが分かっています。日常生活に支障はないものの、記憶力の低下が見られます。物忘れはそのサインの一つです。例えば、朝ごはんの献立を忘れてしまうのは加齢による物忘れですが、ごはんを食べたこと自体を忘れてしまうのは、認知障害による記憶力の低下が疑われます。また、ヒントがあっても思い出せない、重要なことなのに忘れてしまうといった場合も要注意です。
認知症になると根本的な治療は難しくなりますが、早期に気付いて対応することで、発症を抑えたり、進行を遅くしたりすることは可能です。物忘れをはじめ、日常の些細(ささい)な変化や違和感を自覚したら放置せず、かかりつけ医に相談しましょう。状況に応じて、適切な医療につなげてくれるはずです。
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