「ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)」をご存じですか。これは運動器に障害が生じて、歩行などの機能が低下した状態を指すものです。
今現在、自分の足で歩ける人は、これからもずっと歩けるものと思いがちです。しかし、歩行のために必要な骨や筋肉は、20~30代をピークに徐々に衰え始めます。50代を迎えるとさらに筋力が衰え、骨・関節・神経に関わる病気なども起こりやすくなります。特に、女性はもともと筋肉量が少なく、閉経すると骨が弱くなりやすいため、リスクはより高いといえます。従って、ロコモ対策は50歳、できれば40代から始めたいところです。
何もせずにいると、関節痛や腰痛が起こったり、運動量が減って骨が弱くなり、バランス能力も低下して転倒しやすくなります。転倒して骨折したり、関節を傷めて動きが制限されると、さらに活動量が減るという負のスパイラルに陥ります。こうしたロコモの状態は、寝たきりの原因となる骨粗鬆症や認知症とも密接に関わっています。
そこで今からできる有効な対策は、運動習慣をつけることです。お勧めは、日課としてよく歩くようにすること。その際早歩きをしたり、坂道や階段の昇り降りを加えたりすると、さらに負荷が増えるので効果的です。家にいるときは、テレビを見ながらスクワットや片足立ちをする癖をつけてみましょう。全身の筋肉や関節のコンディションを整えるために、朝にラジオ体操を行うのもいいことです。続けるうちに、動くことがおっくうでなくなったり、足取りが軽く感じられるようになったら、効果が出ている証拠です。
一方、関節や筋肉に激しい痛みを感じる、発赤や腫れが生じる、軽い痛みでも6週間以上続くようなときには、整形外科の受診をお勧めします。以前と比べて歩くのが遅くなった、バランス感覚が悪くなったと感じたときは、リハビリテーション科か神経内科が適切です。もし受診科に迷ったなら、かかりつけ医に相談してみましょう。
最新号を紙面で読める!