日本商工会議所は4月21日、自由民主党首脳との懇談会を都内で開催した。会議の冒頭、三村明夫会頭は、困窮する事業者支援と物価高対策への政府の対応に感謝の意を示すとともに、コロナ禍、ウクライナ侵攻で加速した原材料や資源価格の高騰や円安の急伸により、厳しさが増している地域経済と中小企業の経営状況などを説明。取引価格の適正化を目指す「パートナーシップ構築宣言」の実効性確保への支援やコロナ禍からの出口戦略の早急な提示なども要請した。
会合には、日商側から三村明夫会頭、鳥井信吾副会頭(大阪・会頭)、山本亜土副会頭(名古屋・会頭)、上野孝副会頭(横浜・会頭)、家次恒副会頭(神戸・会頭)、福田勝之副会頭(新潟・会頭)、泉雅文副会頭(高松・会頭)、池田晃治副会頭(広島・会頭)、谷川浩道副会頭(福岡・会頭)ら12人が出席。自民党からは、麻生太郎副総裁のほか、茂木敏充幹事長、福田達夫総務会長、高市早苗政務調査会長、遠藤利明選挙対策委員長ら幹部11人が出席し、意見交換を行った。
三村会頭は、政府・与党の中小企業の資金繰り、物価高対策などの対応に謝意を表明。困窮する事業者などへの支援継続とともに、コスト増などにより収益が圧迫している中小企業の現状を説明し、「需要・消費喚起策や、コロナ禍やコストプッシュにも耐え得る中小企業の付加価値の拡大に資する価格転嫁や取引適正化などへの支援強化をお願いしたい」と要請した。
自己変革力を備え、イノベーション活動に対する意識が高い中小企業も数多く存在することから、DX、GX、生産性向上、高付加価値化などの挑戦への支援強化の必要性を強調。「1人当たりGDP引き上げを新たな国家目標とした成長戦略の策定が急務」との考えを示し、「デジタル化の遅れなど、コロナ禍で明らかとなった社会課題の解決と経済成長の同時実現を目指す、二正面作戦を取っていくことが大事だ」と提案した。
また、「国民の間で外食や旅行を控える『コロナマインド』がまん延し、回復の足かせになっている」と指摘。医療体制の強化と、基礎的な感染対策の下、活動制約をかけずに経済を回していく、「コロナ禍からの出口戦略」の早急な提示を求めている。
麻生副総裁からは、「事業承継税制は商工会議所の声を聞いてつくり上げた。現場の生の声から良い政策が生まれる。地元の声を届けてもらいたい」と指摘。茂木幹事長は、中小企業支援施策などについて「スピード感を持って執行していく」と意欲を示すとともに、「中小企業のDXや生産性向上などの課題に取り組むためには安定政権の確立が不可欠であり、引き続きの支援をお願いしたい」と述べた。
最新号を紙面で読める!