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コロナ禍は去った。というと警戒心がないように聞こえるかもしれないが、重症化率、感染者数などから見て、日本は「卒コロナ」の段階に入ったといえる。成長に向け、アクセルを踏み込むタイミングだ。ただ、コロナ前のような中国、韓国はじめ外国からのインバウンド旅客がいつ戻るかは見通せない。今、ビジネスを成長軌道に戻すカギは国内から人を呼び、国内にモノを売る「互産互消」だ。
互産互消という言葉は「地産地消」からきているが、内容は全く異なる。地元産品を地元でもっと消費しようという地産地消に対し、他の地域と産品を交換し、消費し合うのが互産互消だ。国内貿易である。地産地消は地元市場での消費促進だけなので、量的拡大には限界があるが、互産互消はさまざまな地域に産品を販売するので、需要拡大効果はケタ違いに大きい。
互産互消は静岡県掛川市で始まった。掛川特産のお茶や次郎柿を北海道豊頃町や沖縄県うるま市、京都府京丹後市、秋田県仙北市などで販売し、豊頃町の「黒豆」「なたね香味油」を掛川市で販売する。うるま市の「もずく」や「天然塩」、京丹後市の「へしこ」や「ゴボウの酢漬け」、仙北市の「いぶりがっこ」も同様に地域間で相互販売する。
聞いたことのない他地域の名産品でも、現地の人がおいしい食べ方などの解説を付ければ、興味をそそられる商品になり得る。例えば、北海道は全国で一人当たりの緑茶消費量が最も少なかったが、掛川から人が販売に出かけ、緑茶のおいしい入れ方を指導すると、緑茶ファンが急増するという現象が起きた。他地域に地元産品を送るだけで、食べ方や商品情報は伝えず、後はご自由にでは、販路が全国に広がるはずもなく、リピーターも現れない。互産互消のアイデアはモノ以上に情報や体験の交換を意味している。自分の知らなかった食に目覚め、知らなかった土地を訪ねるきっかけにもなるだろう。
世界経済は、産品を遠隔地と交換することで互いに消費を刺激し、イノベーションを活性化して発展して来た。地元で産品を売り込むだけでは発展の可能性は限定される。卒コロナで、国内観光は盛り上がってきており、リベンジ消費も膨らむ。今こそ国内で互産互消を実践するときだろう。
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