日本商工会議所は7月21日、「2023年度中小企業・地域活性化施策に関する意見・要望」を取りまとめ、公表した。特に緊急な対応が必要な事項として「物価高騰に伴うコスト負担増やコロナ禍克服への対応」の重要性を強調。「中小企業の自己変革・生産性向上に向けた支援」や「ウィズ/アフターコロナの持続的成長・競争力強化に資する政策」「中小企業の活動を支える事業環境整備」「地方創生の再起動」「大規模自然災害からの早期復旧・復興、東日本大震災からの復興・創生」について、23年度の政府施策に反映するよう要望している。
今回の要望では、新型コロナウイルスの影響の長期化に加え、国際情勢の緊迫化や原油・原材料・食糧価格高、円安などによる物価高騰などの厳しい経済情勢を指摘。「地域経済を支え雇用確保を担っている中小企業・小規模事業者は、価格転嫁が進まず未曽有の影響を受け、厳しい経営環境に置かれている」と強い危機感を示し、「物価高騰に伴うコスト負担増やコロナ禍克服への対応」を緊急要望事項として提示した。
具体的には、特に「物価高騰による事業者への影響を抑える取り組み推進」「円滑な価格転嫁に向けた取り組み推進」「経済活動の活性化に向けた水際対策のさらなる緩和」「観光関連産業の経営基盤の再生・強化」「コロナ禍の影響を強く受けた中小企業などの事業継続への支援」の5点の必要性を強調。早急に対応すべき事項は、今年度中の執行も含めた柔軟な対応を強く求めている。
23年度施策については、中小企業の自己変革、生産性向上に向けた支援策として、「ビジネスモデルの変革支援」「中小企業のデジタル化による生産性向上支援」「イノベーションによる付加価値向上」「経営環境の多様化・高度化に対応するための人への投資」「知的財産の創造・活用支援」「事業承継支援の推進」「創業支援の強化」「小規模事業者の挑戦への後押しの強化」の8点を提示。「ウィズ/アフターコロナの持続的成長・競争力強化に資する政策」としては、「2050年カーボンニュートラル実現に向けた支援強化」「海外ビジネス展開支援」「中小企業の新たな挑戦や生産性向上につながる規制緩和」を要望している。
中小企業の活動を支える事業環境整備として、特に、消費税インボイス制度導入に関して、免税事業者の取引排除などによる倒産・廃業の可能性も含めた十分な検証と、政府による免税事業者への責任ある普及・周知の徹底、制度改正や支援策の検討・実施を強く要請。検証結果や中小企業経営の実態などを踏まえた制度導入時期の延長なども求めている。
また、中小企業金融の円滑化、中小企業に配慮した雇用・労働政策、中小企業が使いやすいデジタルガバメントの推進などの必要性も強調。健康経営の普及・促進、2025年大阪・関西万博への中小企業などの参画機会確保などの支援についても要望した。
地方創生の再起動に向けては、地方分散化や地域資源活用、民間起点による公民連携のまちづくり、観光関連産業の再活性化、国土強靭(きょうじん)化や地域産業のアップグレードに資する社会資本整備の推進などの重要性を指摘。日本各地で頻発する大規模自然災害への備えを万全にするとともに、被災事業者への迅速な支援、発生から11年が経過した東日本大震災からの確実な復興・創生の強力な推進なども求めている。
日商では、意見・要望書を政府など関係各方面に提出。国の中小企業・地域活性化施策に反映されるよう、内閣総理大臣、経済産業大臣をはじめ政府・政党などに強く働きかけていくことにしている。
中小企業・地域活性化施策に関する意見・要望 主な意見・要望事項
【緊急要望事項】
物価高騰に伴うコスト負担増やコロナ禍克服への対応
【要望事項】
Ⅰ.中小企業の自己変革・生産性向上に向けた支援
Ⅱ.ウィズ/アフターコロナの持続的成長・競争力強化に資する政策
Ⅲ.中小企業の活動を支える事業環境整備
Ⅳ.地方創生の再起動
Ⅴ.大規模自然災害からの早期復旧・復興、東日本大震災からの復興・創生
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