「ひ志お」(醤(ひしお))と聞いてすぐに分かる人は醤油(しょうゆ)のまちの生まれだろう。一見すると味噌(みそ)か粒餡(あん)のよう。しかしどちらでもなく“食べる醤油”と表現するのが一番近い。大豆と大麦から麹(こうじ)をつくり、じっくり1年以上かけて熟成させた発酵調味料。見た目は黒いが塩辛くはなく、甘みも酸味もない。ほかに類似する味が思いつかないほど独特の風味を持っている。生野菜のディップに使っても、煮物の隠し味やステーキソースにしてもうまいが、炊き立てのご飯と食べると最高! 何膳でも食べられる。銚子にあった父の実家に泊まると、食卓には必ずひ志おがあった。カツオの刺身につけて、ご飯と一緒に食べた、食べた。忘れられない朝ごはんだ。 銚子は江戸時代から続く醤油の産地。冬は暖かく、夏は涼しく、寒暖差が小さい気候で良質の麹を育てるのに最適な地だった。ひ志おは中国から伝わったといわれ、「大宝律令」に大豆を原料としたひ志おがつくられていたという記録があるそう。古くから知られた発酵調味料なのだ。「銚子山十」は1630(寛永7)年創業。現在もひ志おといえばこの店の名が挙がる。ひしお、ひしをなどの名前で扱うほかの店があっても、わが家はずっとこのひ志お一筋だ。
Data
社名 : 株式会社銚子山十(ちょうしやまじゅう)
所在地 : 千葉県銚子市中央町18-3
HP : https://www.hishio.co.jp/
電話 : 0479-22-0403
【銚子商工会議所】
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