私たちが普段、家庭ごみを分別して出すとき、一見しただけでは材質が分からず、分別の仕方に迷うことがあるかと思います。そのようなときに参考になるのが容器包装に付けられた「識別マーク」です。 今回は、消費者にとってなじみの深い識別マークと容器包装リサイクル法(以下「容リ法」)の関係について解説します。
マークの表示は事業者に義務付け
識別マークは、製品に使う素材を把握している事業者に表示が義務付けられています。消費者にとっては、ごみを出すときの判断の目安として分別を容易にするもので、市町村の行う分別回収を促進する目的があります。
識別マークの表示義務は、容リ法ではなく、資源有効利用促進法という法律に定められています。この法律では、廃棄物を減らし、使用済み物品や廃棄物などで再生可能な物品のリサイクルの促進を図るために必要な措置を定めており、識別マークの表示対象は、容器包装だけではなく、小形二次電池、塩化ビニル製建築資材といった外見上識別が困難な物品が指定されています(資源有効利用促進法第24条。図参照)。このうち、容器包装に表示する識別マークが容リ法に関係する部分となります。
消費者や自治体のごみ分別の指標に
容リ法において、消費者は市町村が定めた分別収集計画に基づき、容器包装廃棄物を分別して排出する義務を負います(容リ法第10条第3項)。容器包装廃棄物には、容リ法において再商品化の対象となるガラスびん、PETボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装に限らず、スチール缶、アルミ缶なども含まれ、本来、分別に迷うところですが、消費者は、識別マークを信頼し、その表示を目安にすることで、容易に適切な分別ができる仕組みとなっています。
以上から、識別マークを利用した日本の容器包装リサイクルの仕組みは、資源有効利用促進法において、事業者に適切な識別マークの表示を義務付け、容リ法において市町村に各自治体の実情に合った分別収集計画を作成させ、消費者に識別マークを参考にした分別排出を容易にさせるという、相互作用、連携により成り立っていることが分かります。
普段、何気なく目にする識別マークですが、消費者、市町村、事業者がそれぞれの役割を果たすための指標になっているといえます。
容リ法および関連法令集はこちらを参照
https://www.jcpra.or.jp/Portals/0/resource/aboutlaw/houritsu011.html
公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会▶https://www.jcpra.or.jp/
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