日本商工会議所は1月17日、片山さつき地方創生担当大臣との懇談会を都内で開催した。日商の三村明夫会頭は、地方創生を実現するための5カ年計画である現行の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が4年を過ぎ、2020年から始まる次期総合戦略策定に当たって、「現在の総合戦略によってどのような成果があり、どのように評価するのかといった検証が必要」と指摘。成功している地域の知見や必ずしもうまくいっていない地域の反省を踏まえ、次の期で何をするのかといった段階を踏まえた議論を行うよう求めた。
懇談会には日商から三村会頭はじめ、尾崎裕副会頭(大阪・会頭)上野孝副会頭(横浜・会頭)、立石義雄副会頭(京都・会頭)、家次恒副会頭(神戸・会頭)、鎌田宏副会頭(仙台・会頭)、深山英樹副会頭(広島・会頭)、福田勝之副会頭(新潟・会頭)、岩田圭剛副会頭(札幌・会頭)、藤永憲一副会頭(福岡・会頭)、泉雅文副会頭(高松・会頭)、富良野商工会議所の荒木毅会頭、高岡商工会議所の川村人志会頭、日南商工会議所の清水満雄会頭、鳥取商工会議所女性会の山口朝子氏ら18人、政府側からは、片山大臣はじめ、中根一幸副大臣ら幹部9人が出席した。
三村会頭は、地域経済が縮小する方向にある中、地域経済活性化のためには、域外の需要を取り込み、地域に経済の好循環を生み出すことが重要であることから、その鍵として観光と農林水産業の振興を強調。インバウンドなど旺盛な観光消費の地方分散や農商工連携の一層の推進に向け、相対的に低いとされる生産性を向上させていく強力な政策的支援を行うよう求めた。
さらに、地方創生に向けて、各地域の総合戦略の推進体制やKPIの検証と成果や問題点の見える化、好事例の横展開、人口減少に歯止めをかける少子化対策の強化、事業承継や創業支援の強化による地域の仕事と雇用の確保などを確実に進めるよう要請した。また、東京圏への転入超過に歯止めがかかっていない状況の打開が図られるよう、片山大臣に期待を示した。
片山大臣は、今年の6月までに第二期総合戦略の指針をつくることから、「商工会議所からもさまざまな意見を聞いて進めていきたい」とコメントした。また、「中枢中核都市」に対して、近隣市町村を含めた圏域全体として東京圏への人口流出が抑止されるよう、省庁横断的なハンズオン支援などを実施していく考えを表明。「中核都市のみならず、全ての自治体が数値的に目に見えるような結果を出せるよう抜本的な施策を検討する」と述べた。
意見交換では、日商側から官民連携による地域ビジョンの作成、観光誘客促進、まちづくり、UIJターンへの支援などについて発言した。
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