1.新型コロナウイルス感染症対策関係経費31兆8171億円
(1)雇用調整助成金の拡充など4519億円
※上記は労働保険特別会計への繰り入れや週所定労働時間20時間未満の労働者に係る事業について、一般会計で措置した額であり、このほか、同特別会計で8576億円を措置している。
(2)資金繰り対応の強化11兆6390億円
・中小・小規模事業者向けの融資〔8兆8174億円〕
・中堅・大企業向けの融資〔4521億円〕
・資本性資金の活用〔2兆3692億円〕
(3)家賃支援給付金の創設2兆242億円
(4)医療提供体制などの強化2兆9892億円
・新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金〔2兆2370億円〕※うち医療〔1兆6279億円〕、介護など〔6091億円〕。
・医療用マスクなどの医療機関への配布〔4379億円〕
・ワクチン・治療薬の開発など〔2055億円〕
(注)このほか、20年度補正予算(第1号)で措置した新型コロナウイルス感染症対策予備費を活用し、学生支援緊急給付金531億円(20年5月19日閣議決定)、医療用マスクなどの医療機関への配布1680億円および診療報酬上の特例的な評価(国庫負担分)159億円(20年5月26日閣議決定)を措置。
(5)その他の支援4兆7127億円
①新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充2兆円
②低所得のひとり親世帯への追加的な給付1365億円
③持続化給付金の対応強化1兆9400億円
④その他6363億円
・持続化補助金などの拡充〔1000億円〕
・農林漁業者の経営継続補助金の創設〔200億円〕
・文化芸術活動の緊急総合支援パッケージ〔560億円〕
・自衛隊の感染症拡大防止・対処能力のさらなる向上〔63億円〕
・地域公共交通における感染拡大防止対策〔138億円〕
・個人向け緊急小口資金などの特例貸付〔2048億円〕
・教員、学習指導員などの追加配置〔318億円〕
・教育ICT環境整備などのための光ファイバー整備推進〔502億円〕
・学校再開に伴う感染症対策・学習保障など〔421億円〕
・スマートライフ実現のためのAIシミュレーション事業〔14億円〕
(6)新型コロナウイルス感染症対策予備費10兆円
2.国債整理基金特別会計へ繰り入れ(利払費など)963億円
3.既定経費の減額(議員歳費)マイナス20億円
補正予算の追加歳出計31兆9114億円
経済産業省関係
1.資金繰り対策【10兆9405億円】
①日本政策金融公庫などによる実質無利子融資の継続・拡充(中小・小規模事業者向け)【5兆5683億円】
・日本政策金融公庫および商工組合中央金庫(危機対応融資)が「新型コロナウイルス感染症特別貸付」などを継続し、さらに貸付上限額と利下げ限度額の引き上げを実施。
・日本政策金融公庫・商工中金などの低利融資と特別利子補給制度による実質無利子・無担保・据え置き最大5年の融資について、融資枠を確保。
(ⅰ)日本公庫・商工中金などによる特別貸し付け
・対象事業者:売上高マイナス5%以上減少・当初3年間基準金利マイナス0・9%(中小・危機1・11%↓0・21%、国民1・36%↓0・46%)
・貸付限度額:中小・危機6億円(拡充前3億円)、国民8千万円(拡充前6千万円)
・利下げ上限額:中小・危機2億円(拡充前1億円)、国民4千万円(拡充前3千万円)
(ⅱ)特別利子補給制度
一定の要件の下、当初3年間利子補給により実質無利子化。
②民間金融機関を通じた実質無利子融資の継続・拡充(中小・小規模事業者向け)【3兆2375億円】
・都道府県などによる制度融資を活用した民間金融機関の実質無利子融資を継続し、さらに融資上限額の引き上げを実施。
・セーフティネット保証、危機関連保証について要件を満たせば保証料ゼロ。
・民間金融機関による実質無利子・据え置き最大5年の融資などについて、融資枠を確保。
(ⅰ)信用保証料の減免
・セーフティネット保証4号、5号、危機関連保証を一定の要件の下、保証料をゼロまたは2分の1に減免(上限4000万円(拡充前3000万円))。
(ⅱ)都道府県による制度融資を通じた利子補給
・都道府県に対する補助(定額)を実施し、一定の要件の下、制度融資を通じた利子補給により当初3年間実質無利子化(上限4000万円(拡充前3000万円))。
③資本性資金供給・資本増強支援(中小・小規模事業者向け)【1兆2442億円】
・長期一括償還の資本性劣後ローンを供給するとともに、中小機構出資の官民連携のファンドによる出資や債権買取などを実施。
(ⅰ)資本性劣後ローン
・金融機関が自己資本と見なすことができる資本性劣後ローンを供給することで、民間金融機関からの金融支援を促し、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者の成長・再生やスタートアップ企業の資金繰りを支援。
主な貸し付け条件(日本公庫中小、商工中金の例)
・貸し付け限度:最大7・2億円(別枠)
・貸付期間:5年1カ月、10年、20年(期限一括償還)
・貸付金利:当初3年間一律0・5%、4年目以降直近決算の業績が赤字0・5%、黒字2・6%または2・95%
(ⅱ)官民ファンドによる支援
・地域の核となる事業者の廃業・倒産を防ぐため、中小機構による出資などを通じ、事業再生とその後の企業価値の向上を支援。「事業引継ぎ支援センター」とも連携し、出資先企業の第三者承継を促進し、地域の事業再編にもつなげる。
・中小機構を通じて債権買い取りや出資などを行い、経営改善までのハンズオン支援を実施。「中小企業再生支援協議会」とも連携し、再生計画の策定と事業再生を促進。
④危機対応融資および資本性劣後ローン(中堅・大企業向け)【8905億円】
・長期・低利の融資を実施するとともに、財務基盤が悪化している事業者に対して、資本性劣後ローンを供給。
(ⅰ)危機対応融資
・対象者:最近1カ月の売上高が前年または前々年同期比で5%以上減の者など
・適用金利:通常金利(中堅企業は当初3年間マイナス0・5%の利下げ)
・貸出期間:設備資金20年、運転資金15年
・貸出限度:上限なし
(ⅱ)資本性劣後ローン将来成長の可能性が十分にある、地域経済にとって重要な事業者などに対して、資本性のある劣後ローンを供給することで、民間金融機関からの金融支援を促す(中堅企業は当初3年間原則マイナス0・5%の利下げ)。
以上のほか、①海外日系子会社向け融資に対する日本貿易保険による保険引き受け枠を設定。②産業革新投資機構において出資などを実施。
2.持続化給付金【1兆9400億円】
・新型コロナウイルス感染症の拡大により大きな影響を受けている事業者に対して、事業全般に使える給付金を支給。足元の状況などを踏まえ積み増し。
①給付対象
・中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者、そのほか各種法人などで、新型コロナウイルス感染症の影響により売り上げが前年同月比で50%以上減少している者。
②給付額
・法人は200万円、個人事業者は100万円 ※ただし、昨年1年間の売り上げからの減少分を上限とする。(前年の総売り上げ(事業収入)-(前年同月比マイナス50%月の売り上げ×12カ月)
3.家賃支援給付金【2兆242億円】
・新型コロナウイルス感染症を契機とした5月の緊急事態宣言の延長などにより、売り上げの急減に直面する事業者の事業継続を下支えするため、地代・家賃の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して給付金を支給。
①給付対象
・テナント事業者のうち中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業者などであって5~12月に以下のいずれかに該当する者。
・いずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少。
・連続する3カ月の売上高が前年同期比で30%以上減少。
②給付額・給付率
・給付額は申請時の直近の支払家賃(月額)に係る給付額(月額)の6倍(6カ月分)。
・給付率は3分の2、給付上限額(月額)は法人50万円、個人事業者25万円とし、6カ月分を給付する。加えて、複数店舗を所有する場合など、家賃の総支払い額が高い者を考慮して、上限を超える場合の例外措置を設ける。
※支払家賃(月額)のうち給付上限超過額の3分の1を給付することとし、給付上限額(月額)を法人100万円、個人事業者50万円に引き上げる。
4.中小企業生産性革命推進事業による事業再開支援【1000億円】
・業種別ガイドラインなどに基づいて中小企業が行う事業再開に向けた消毒設備や換気設備の設置などを支援。
・特別枠(類型BまたはC)の補助率を引き上げるとともに、感染防止対策の取り組みに対して、新たに定額補助・補助上限50万円の別枠(事業再開枠)を上乗せする。
①事業再開枠(新設)の対象:消毒、マスク、清掃、飛沫(ひまつ)防止対策、換気設備、そのほか衛生管理、掲示・アナウンス
②特別枠の申請要件(※経費の6分の1以上が、以下のいずれかに合致)
類型A:サプライチェーンの毀損(きそん)への対応
類型B:非対面型ビジネスモデルへの転換
類型C:テレワーク環境の整備
5.中小・小規模事業者向け経営相談体制強化事業【94億円】
・各市町村へ専門家を派遣し、中小・小規模事業者からの相談に対応する体制を整備。また、商工会・商工会議所の相談受け付け体制を強化。
6.感染症対策関連物資生産設備補助事業【22億円】
・抗原検査機器やN95マスクなどのニーズが高い物資について、生産設備の整備・増強に係る費用を補助し、国内における供給の拡大を図る。
補助率は抗原検査機器:10分の9
N95マスクなど:4分の3(中小企業)、3分の2(大企業)
厚生労働省関係
1.検査体制の充実、感染拡大防止とワクチン・治療薬の開発
2.ウイルスとの長期戦を戦い抜くための医療・福祉の提供体制の確保
3.雇用調整助成金の抜本的拡充をはじめとする生活支援
(1)雇用を守るための支援
・雇用調整助成金の抜本的拡充【7717億円】
・雇用調整助成金の日額上限を8330円から1万5000円に特例的に引き上げ、緊急対応期間を9月まで延長
・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(仮称)の創設【5442億円】
・休業期間中の賃金の支払いを受けることができなかった中小企業の労働者に対し、当該労働者の申請により、支援金を支給
・失業等給付費の確保【2441億円】
・雇用失業情勢の変化に対応するため、失業等給付費を確保
・就職支援の強化など【34億円】
・ハローワークの就職支援ナビゲーターを拡充し、担当者制による就職支援の強化
・外国人労働者に係る相談支援体制などの強化【2・5億円】
・雇用などの情報多言語による発信強化
・小学校などの臨時休業に伴う特別休暇取得制度への支援【50億円】
・新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置により休業する妊婦のための助成制度の創設【90億円】
(2)生活の支援など
・個人向け緊急小口資金などの特例貸し付けの実施【2048億円】
・生活困窮者などへの支援の強化【65億円】、住まい対策の推進【99億円】
・自立相談支援機関などの人員体制強化、住居確保給付金の支給、アパートなどへの入居支援
・自殺防止に関する相談体制の強化と相談環境への支援【8・7億円】
・低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金の支給【1365億円】
・感染防止に配慮した児童虐待、DV、ひとり親家庭などの相談支援体制の強化【4・2億円】
・「子どもの見守り強化アクションプラン」を踏まえた見守り体制の強化【41億円】
・児童相談所や市町村の体制強化、子ども食堂や宅食を行う民間団体などの支援
・妊産婦などへの支援の強化【177億円】
・妊産婦に対する寄り添い型支援と検査費用の補助、オンライン保健指導、乳幼児健診の個別化など
・生活衛生関係営業者への資金繰り支援の拡充など【189億円】
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