このコーナーでは、「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」の概要や親事業者・下請事業者の定義、取引の内容、親事業者の義務・禁止事項などを、Q&A方式で解説しています。今回は「買いたたき」をテーマにご紹介します。
Q 当社は、発注単価の改定について下請事業者との協議を全く行わず、一方的に単価を決定しています。これは「買いたたき」となりますか。
A.NG! 買いたたきの恐れあり 下請法で買いたたきに当たるか否かは、「対価の決定方法」(下請事業者と十分な協議が行われたかなど)、「対価の決定内容」(差別的であるか否かなど)、「通常支払われる対価との乖離(かいり)」、「原材料価格の動向」などを、総合的に考慮した上で判断します。
この場合の対価の決定方法については、下請事業者と十分な協議が行われていないため、買いたたきに該当する恐れがあります。
Q 自動車関連部品の製造を委託しています。不良品の納入が多い下請事業者に対し、共同で工程の管理・改善を行った結果、不良率の軽減などの成果が上がりました。
このような場合、その改善の成果の範囲内で単価の引き下げを行うことは、買いたたきとして問題になるのでしょうか。
A.OK! ただし、配慮も必要です 買いたたきとは、「通常支払われる対価(市価)と比較して、著しく低い額を不当に定める行為」としています。決定された単価が類似品と比べて妥当なものであるか、その決定方法が合理的かつ正当なものであるか否かにより、総合的に判断されます。
この場合、親事業者と下請事業者の相互の協力で工程を改善できたようですから、十分な協議の上、その合理化によって得られた成果の範囲内で単価の引き下げを行うのであれば問題はありません。
ただし、このような場合でも、下請事業者の寄与度を考慮しないなど、生産性向上の意欲が減退するほど引き下げることは好ましくありません。
なお、十分な協議をせず、単価改定の行為として、合理化によって発生したコスト低減分を一時金とし、当初に決定した下請代金額から減額することは「減額の禁止」に当たるため、下請法違反となります。
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