機械提供 全国の事業者が被災企業に機械を届ける遊休機械無償マッチング支援プロジェクト
全国の事業者から使わなくなった機械を提供してもらい、商工会議所のネットワークを使って震災で被災した事業者に提供する「遊休機械無償マッチング支援プロジェクト」。これまでに、全国67商工会議所の会員企業332社から提供された2326点の機械などが、被災地10商工会議所の236社に届けられている。
ニーズへの対応が課題
現在、被災地から寄せられている要望は4232件。これに対して、113商工会議所から4825件の機械などの提供の申し出があるが、この中には特殊なものや高度なもの、カスタマイズされたものなども含まれており、マッチングの可能性のある機械の数は多くない。
被災地では、復興が進むにつれ汎用的な機械を中心にニーズが高まっており、今後提供される機械の掘り起こしが課題だ。ここでは、機械を受け取った被災企業の声を紹介する。
事業の再開を支えてもらいました
磐梯マリーン松川浦マリーナ 鈴木 義直さん
福島県相馬市の松川浦で、プレジャーボートの管理をしています。ここは風光明媚な湾内で、釣りやマリンスポーツの拠点として有名なところです。震災の際に津波で港に停泊していたボート同士が衝突し、多くの船が破損しましたが、修理すれば乗れる船も多く、かなりの数の修理依頼がありました。震災後は、この依頼をこなすだけで手いっぱいです。
船体に使っているFRP(繊維強化プラスチック)の補修にはエア工具を使うのですが、その動力となる空気を送るコンプレッサが水に浸かり壊れてしまいました。そんなときに相馬商工会議所から遊休機械マッチングの話があり、平成24年2月に見た目にも新しいコンプレッサをいただきました。せっかくの機械ですが、フル稼働で通常の10倍の使用負荷をかけ酷使し続けて、基板をだめにしてしまいました。今は、中古の代替機を調達し使っています。
事業を再開するときに工具が使えたので、今でも大変感謝しています。
修理に必要な機械をいただきました
藤商会 佐藤 敦さん
福島県相馬市でフィッシングやクルージングなどのマリンレジャーに使うプレジャーボートの販売・管理・修理と、地元の漁船の修理をしています。100隻ほどあったボートは、津波で流されて30隻に減ってしまいました。当社も1階の作業場にあった機械や工具を流されました。
平成24年2月に相馬商工会議所の紹介で、ボール盤をいただきました。船の修理には欠かせない機械です。それまで代わりに使っていた手動ドリルでは、ステンレスに穴を空けられずに困っていたので、とても助かっています。
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