これまで容器包装リサイクル制度(容リ制度)の背景や内容について説明し、家庭から排出される容器包装ごみを資源として再商品化(リサイクル)する義務は特定事業者が負い、再商品化委託料を日本容器包装リサイクル協会へ支払うことで義務を果たしていると解説してきましたが、一方で、その義務を果たしていない事業者も存在します。こうした事業者は容器包装リサイクル法(容リ法)の「義務不履行事業者」になるため、「ただ乗り事業者」とも呼ばれます。今回はこの「義務不履行事業者」について解説します。
Q 義務不履行事業者とは、どのような事業者ですか?
A 事業者の認識、手続きによって次の五つに分類されます。
①再商品化義務があることを認識できていない事業者
②再商品化義務があるが、当協会に履行義務を負う事業者としての登録(以下、事業者登録)をしておらず、かつ自主回収など他の方法での再商品化も行っていない事業者
③当協会に事業者登録しているが、再商品化委託申し込みをしていない事業者
④当協会に事業者登録し、再商品化委託申し込みをしているが、支払いをしていない事業者
⑤当協会に事業者登録し、再商品化委託申し込み・支払いをしているが、過少申告である事業者
Q 義務不履行事業者によってどんな影響があるのですか?
A 義務不履行事業者は容リ法に違反しており、放置すれば再商品化義務を適正に果たしている事業者に過剰な費用負担を強いることになります。義務不履行事業者が本来支払うべき分まで他の事業者が負担しているわけですから、公平さを欠き、リサイクル制度の根幹を揺るがす事態にもなりかねません。
Q 義務不履行事業者は誰が取り締まるのでしょうか?
A 特定事業者の違法行為への対応は役割が分担されており、主務省庁である経済産業省、財務省、国税庁、厚生労働省、農林水産省がそれを担います。容リ協会は、容リ制度の運営を担う組織として、特定事業者はじめ関係主体の一層の理解と協力を得るために主務省庁と協働し対応に取り組んでいます。
具体的な取り組みとしては、
①申し込みや支払いのない事業者に対して年に複数回督促状を発送し、その状況を主務省庁に報告
②各種業界団体への働きかけや訪問を積極的に行い、会員企業への周知につき協力を依頼
③公益通報窓口に相談が寄せられた場合には、主務省庁と対応を協議
なお、委託料を完納し再商品化義務を果たした特定事業者名は協会ホームページで公開しています。また、同意を得た場合には、その支払金額も公表しております。
義務履行者リストはこちら ▶ https://www.jcpra.or.jp/specified/perform/tabid/623/index.php#Tab623
これまでの連載はこちら(日商Assist Biz) ▶ https://ab.jcci.or.jp/series/4164/
公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会 ▶ https://www.jcpra.or.jp/
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