日本・東京商工会議所はこのほど、「求められる『少数精鋭の成長モデル』への自己変革 3つのチャレンジ事例集」を発行した。両所は2023年12月に、「これからの労働政策に関する懇談会」の中間レポートを公表しており、事例集では、同レポートで提示した、中小企業が深刻な人手不足社会を生き抜くための三つのチャレンジ(省力化、育成、多様性)に積極的に取り組み、成果を上げてきた中小企業19社を紹介している。
事例集は、「3つのチャレンジ」を具体的な取り組み内容に沿って二つずつに区分した六つのテーマ別の目次を掲載。特定のテーマについて、各企業がどのように取り組んだのかを手軽に探せるようになっている。
事例集に掲載された島田工業株式会社(群馬県伊勢崎市)は、大量生産に強みのある会社だったが、東日本大震災や主取引先の合併などの影響で売り上げが減少する中で、少量多品種生産への転換を決意。新たな経営方針・事業計画を浸透させるため、気軽に意見が出し合える企業風土の醸成や、経営方針説明会を実施した。また、稼ぐ力を高めるため、IT化による省力化や機械導入による自動化にも着手。粘り強い取り組みにより、従業員の意識改革に成功し、今年度の売上高は対前期比108%となった。
辻精機株式会社(富山県魚津市)は、大手産業機械メーカーの下請け・協力会社として成長したが、大手の海外への生産移転の進展に加え、昨今の人手不足もあり、生き残りのため、提案型の事業モデルへのシフトを決断。そのために必要な技術と経営の両面から推進できる人材を求め、経験豊富な外部のシニア人材に着目し、公的マッチング支援を活用した。その結果、最適な人材に出会うことに成功。経験を生かしたマネジメントで従業員教育の面でも効果をもたらした。
冊子は、オールカラーで日商・東商のホームページからもダウンロード可能。また、事例集と連動するイベントとして、2月25日に開催するシンポジウム「人手不足の『壁』を乗り越える」~少数精鋭の成長モデルへの自己変革~」(島田工業、辻精機も参加予定)では来場者に無料で配布する。
詳細は、https://www.jcci.or.jp/news/seminar/2024/1224130000.htmlを参照。