昨年のトランプ関税騒動が落ち着いたかと思えば、2月末に始まったイラン攻撃が引き鉄となった石油・石化製品、液化天然ガス(LNG)、肥料はじめ多様な部材の供給不足と価格高騰が世界を揺るがしている。中東地域や産油国の基盤が揺らぐ一方、AIをけん引車とする半導体、データセンター事業の異様な膨張にバブルの懸念が高まっている。世界経済は戦後80年余で最も深い霧の中にある。
昨年3月号の本コラムで、「探索と分散」を提唱した。1990年代からコロナ感染前まで続いたグローバリゼーションの順風期には、企業経営は「選択と集中」を進めれば良かった。当時、人件費が安く、若年労働力も豊富だった中国に、生産拠点を集約することが「選択と集中」となり、多くの企業を成功に導いた。「選択と集中」は右肩上がりの一本道の成長が見通せた時代に適合した戦略だった。
