越後村上は鮭のまち。秋になると市内を流れる三面川(みおもてがわ)に鮭が遡上(そじょう)し、まちじゅうが鮭一色になる。ここでは鮭を頭から尻尾まで余すところなく料理に使い、献立の数は100以上。背わたの塩辛、どんぴこ(心臓)の塩焼き、なわた(内臓の味噌漬け)汁など珍味も多い。さらに、カマやアラ、目玉にはDHAが、皮やウロコにはコラーゲンが多く含まれ、健康や美容の補助食品にもなるのだから、なんともありがたい魚である。
そして、これぞ鮭料理ナンバーワンと断言したいのが「鮭の焼漬」だ。素焼きした鮭を熱いうちにジュッとだしじょうゆに漬けた、味わいの深い一品だ。手のひらほどの鮭の切り身は艶やかなしょうゆ色に漬かって、見るからにうまそうだ。
「鮭の身や皮、骨から十分にうまみが出るので、かつお節や昆布などは一切加えませんよ」と、村上市内で鮮魚店を営む「越後村上うおや」の大女将(おかみ)・上村八惠子さんは語る。しっとりした舌触り、身の繊維の奥まで浸み込んだだしじょうゆと鮭の相性の良さ、豊かなうまみ成分。それらが口の中で一緒になり、もっともっと、もう一度、と脳が繰り返し鮭を口に運ばせる。まさに、やめられない、止まらない味なのだ。
Data
社名:越後村上うおや
住所:新潟県村上市大町4-3
電話:0254-52-3056
Infomation
電話のほか下記よりネットでお取り寄せも可能
最新号を紙面で読める!