蚊帳の生産から事業転換
江戸時代、現在の滋賀県に当たる近江の国では蚊帳(かや)の生産が盛んで、「浜蚊帳」として全国各地にその名を知られていた。琵琶湖の北東部沿岸にある長浜市では、寛文年間(1661―73)に蚊帳づくりが始まったとされており、長浜の大塚吉平が蚊帳を売り始めたのもその頃とされている。 「ただ、年代がはっきり確定できるのは宝永3(1706)年が最初で、その年を創業年としています。なぜこの辺りで蚊帳の生産が盛んになったかというと、近くに琵琶湖があり盆地なので湿度が高く、乾燥していると切れやすい糸も、湿気があって切れずに織りやすかったからです。蚊帳だけでなく、ちりめんやビロードなどの繊維産業が発達しました」と、大塚産業マテリアル代表取締役会長の大塚敬一郎さんは説明する。
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