日本国内は言うに及ばず、海外でもその名が知られる地域の中核企業。地域に根差し、地域の風土、歴史、文化に寄り添い発展し続ける中核企業が実践している人材育成・成長戦略・地域貢献など、今こそ中小企業の経営者が学ぶ点は多い。
現場力と人材が支える成長戦略 地域に根を張り世界市場へ挑む
高知県高知市にある技研製作所は、独自の杭打ち技術を生かし、現場を起点とした技術開発を強みに国内外に事業を広げている。地域企業とも連携し、自社の技術と工法を高知から国内外に普及させることを目指し、社員を海外の現場に送り出している。
高知の現場で生まれた技術を高知の地盤で磨き上げる
建設工事に欠かせない杭(くい)は、建築物の基礎や土留め、斜面や堤防の補強など多くの場面で使われる。技研製作所は杭を地中に押し込む「圧入工法」と、その施工機械「サイレントパイラー」を主力とする企業で、国内の油圧式杭圧入引抜機市場で95%以上のシェアを誇る。
同社の始まりは1967年。現在は代表取締役会長を務める北村精男さんが創業し、土木事業を開始した。当時、全国的な建設ラッシュで、杭打ちには打撃や振動による工法が一般的だったが、騒音や振動による周辺への影響が大きかった。北村さんは、静かな杭打機を国内外で探したが見つからず、自ら開発に挑んだ。発想の原点は、一度地中に打ち込まれた杭が、想像以上に抜けないという事実だった。
「杭を打った数日後、杭が地球につかまれたようにひっついて引き抜けない。そこで、すでに打った杭の抵抗力を利用して、次の杭を地盤に押し込んでいくことを考えたのです」と、同社代表取締役社長CEOの大平厚さんは言う。
北村さんは、「高知のエジソン」と呼ばれた垣内商店(現・株式会社垣内)の故・垣内保夫氏の協力で、75年に〝静かな杭打機〟サイレントパイラーを完成させた。
「現場で使ったところ、騒音が出ない杭打機としてメディアに取り上げられ、同業者から購入の要望が相次いだために販売を開始し、78年に技研製作所を設立しました」
同社は現在、機械の開発・製造部門と施工する子会社を併せ持つ。開発した機械をグループの施工会社が現場で使用し、そこで得た課題や改善点を開発部門へフィードバックする。この「開発と施工の両輪」が同社の強みだ。「現場のニーズを知らなければ、本当に使える機械はつくれません。当社は県内に地盤条件の異なるテストフィールドを持ち、柔らかい地盤から硬い岩盤まで試験をしています」。
高知の現場で生まれた技術を、高知の地盤で磨き上げる。この地域に根差した開発体制が、同社を支える土台となっている。
海外の現場で社員を育てる
同社が人材育成で重視するのは、専門性と現場経験である。そのため社員に必要な資格の取得を促すとともに、開発と施工の現場間を行き来させ、幅広い知識と経験を身に付けさせている。特に今後の展開を見据えて力を入れているのが、グローバル人材の育成である。海外市場の拡大に伴い、現地の施工会社に技術を指導し、機械のメンテナンスを支援できる人材の必要性が高まっているからだ。
