このコーナーでは、「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」の概要や親事業者・下請事業者の定義、取引の内容、親事業者の義務・禁止事項などを、Q&A方式で解説しています。今回は「割引困難な手形の交付の禁止」についてご紹介します。
Q.当社は化学品、化成品などの事業を兼業していますが、主体は繊維業です。下請代金の支払いを手形で行っており、繊維関係については90日以内のサイトにするように行政庁から指導されているため、兼業部分も含め全社的に90日のサイトとしています。兼業の化学品などの非繊維部分については、120日のサイトとしてよいでしょうか。
A.NG!一方的に120日のサイトにしてもよいということではありません
公正取引委員会及び中小企業庁は、昭和41年以降、支払手形の手形期間を繊維製品に係る下請取引においては90日以内、その他の下請取引については120日以内にするように指導しています。従って、化学品などの兼業部分については120日以内のサイトが原則ですが、だからといって現在90日のサイトとなっているものを一方的に120日のサイトにしてもよいということではありません。なぜなら、下請代金は現金払いが原則であるところ、割引困難でない手形であれば手形支払いを容認し、その手形期間はできる限り短くするように、また、現在120日未満の期間の手形を交付している親事業者は、その期間を維持するよう努めることが指導されているからです。
また、手形のサイトの延期という支払条件の悪化を見込んだ対価を下請事業者と十分な協議の上で設定しなければ、「買いたたき」に該当する恐れがあるとされます。
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