日本商工会議所では、東日本大震災において津波などで甚大な被害のあった岩手県、宮城県、福島県の沿岸部商工会議所を中心に、震災以降毎年、役職員が訪問し、当該商工会議所正副会頭などから復興への要望などヒアリングを実施している。その内容は要望書(4面参照)に反映し、政府など関係先に広く要望している。特集では、2019年11〜12月の訪問概要を紹介する。
大船渡商工会議所(岩手県)
日商の杤原克彦理事・事務局長らは12月4日、岩手県大船渡市を訪問視察し、大船渡商工会議所の米谷春夫会頭らと懇談した。
米谷会頭、水野・橋爪両副会頭らから「震災復興需要は終わりに近づいている。建設受注は減少傾向で作業員も少なくなり消費にも影響が生じている。今後、三陸縦貫自動車道の開通で往来が活発化すると、沿線の地域間競争が激化する」との見解が示された。
橋爪副会頭から「駅周辺は、復興事業により整備が進んでいる。一方で、対岸地域は道路整備のみで、今後復興事業が進むのか危惧している」と先行き懸念が語られた。
米谷会頭から早期復興に有効だったというグループ補助金について「財産の処分制限期間内は補助金で導入した設備を処分できないなど、状況の変化に対応できない弊害も出てきている。対策を講じていただきたい」との話があった。
米谷会頭と水野副会頭から、東北地方へのILC(国際リニアコライダー)誘致について、「誘致を実現すれば膨大な機械設備の導入、関連する荷揚げの発生、道路整備の充実、高度人材の流入など大きな期待ができ、経済波及効果も大きいことから、関係先に陳情活動をしている」と先行きに期待感が示された。
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