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テーマ別企業事例 震災から6年、進む連携 復興・共創へ 被災地域の決断

熊本地震から1年 〜一丸となった復興への歩み〜

昨年4月14日から16日にかけて熊本・大分で発生した最大震度7という大地震によって、各地の商店街や観光地は大きな被害を受けた。あれから1年弱、震災後の復興に向けた熊本商工会議所と別府商工会議所の活動をリポートする。

商店街の復興で元気を取り戻す

熊本商工会議所(熊本県)

震災後まもなくして2カ所の商店街に商工会議所の出張相談窓口を設置し、会員・非会員の区別なく事業者の相談に応じた

店を開けることでまちの日常を早く取り戻す

「震災の直後、すでにご経験のある仙台商工会議所の専務理事さんに連絡して、まず商工会議所として何をすべきかのアドバイスをいただきました」と、熊本商工会議所の谷﨑淳一専務理事は当時を振り返る。そのアドバイスに従い、次の3つを決めた。「一つ目は、会員企業に徹底的に寄り添うために、職員が手分けして各社を回り被害状況を調べること。2つ目は商店街のにぎわいを早く取り戻すこと。そして3つ目が、被害にあった事業者の声と要望を行政に対して的確に伝えることでした」

地震当日、谷﨑専務理事は市内中心部にある商店街の状況を自ら見て回った。「通りに全く人けがなく、がく然としました。そこで、この商店街が日常のにぎわいを取り戻せば、熊本の人たちの元気も取り戻せると思ったんです」

熊本城を仰ぐ市中心部には3つのアーケード商店街が連なり、周囲の商店街も含めて市随一の繁華街となっている。この地域に以前のにぎわいを取り戻す取り組みが始まった。

「地震から4日後、商工会議所の谷﨑専務と田村商工観光振興部長が事務所に来られました。商店街のみなさんが大変な状況なのは分かっているが、どんな形でもいいから店を開けるよう呼び掛けてもらえないかと依頼されました」と語るのは、市中心部8つの商店会で構成する熊本市中心商店街等連合協議会の会長、松永和典さん。それから松永さんは8つの商店会と協力し、震災2週間後の5月1日からアーケード下で「震災復興ワゴンセール」を行った。

「これが商店街復興の始まりでした。何をやっていいのか分からなかったときに商工会議所からアドバイスをいただき、商店街としては大変助かりました」と松永さんは言う。

その後の6月1日からは、商工会議所が中心となって「くまもとがんばるモン復興応援事業」を1カ月にわたり開催。デパートのほか中心部商店街の280店舗が参加して応援セールを実施し、その売り上げの一部は熊本城復旧費用などの支援金として寄付された。

震災を乗り越え新たなまちづくりを目指す

商店街の復興支援以外にも、熊本商工会議所では市内の事業者の相談にも対応している。「最初は当面の資金繰りや従業員の雇用などに関するものが多かったのですが、それが落ち着くと今度は各種補助金、助成金の申請や活用方法についての相談が増えていきました」と、田村部長は説明する。

昨年6月には、熊本商工会議所など地元経済5団体による共同提言が、くまもと都市戦略会議(熊本県知事、熊本市長、熊本大学長、熊本商工会議所会頭、熊本経済同友会代表幹事で構成)に提出され、「創造的復興」に向けた取り組みを行う共同宣言が採択された。「2019年夏には中心部商店街近くの再開発地域の総合施設が完成し、その2年後には熊本駅に駅ビルが完成します。創造的復興の中でいかに人の流れが商店街に集まるようにするかをこれから商工会議所が中心となって考えていかなければなりません」と、谷﨑専務理事は決意を新たにする。

2019年秋には「ラグビーワールドカップ」の試合が熊本市で開かれ、冬には「女子ハンドボール世界選手権」も熊本県内で開催される。商店街での共同免税カウンターの設置など、それに向けた取り組みも始まっている。熊本の商店街は震災を乗り越え、新たな一歩を踏み出そうとしている。

※月刊石垣2017年3月号に掲載された記事です。

一つにまとまり温泉街のPRを展開

別府商工会議所(大分県)

西日本新聞に掲載した1ページのカラー広告。ユニークなキャッチコピーも話題に

「別府は温泉観光のまちなので、地震の影響でキャンセルが相次ぎ、深刻な状況に陥りました」と、別府商工会議所の渡邊秀一専務理事は振り返る。別府市の調査によると、地震後のゴールデンウィークに別府の観光施設を訪れた人数は前年比45・7%減、宿泊者数は同33・1%減にまで落ち込んでいた。

「まず商工会議所が取り組んだのが、行政や旅館団体と協力して別府温泉をPRすることでした。幸い一部の地域を除いて施設の被害は少なかったので、すぐに営業を再開しました」

最初は大分県内に向けたPRを開始、6月に福岡県の地元紙に大分県の観光地の広告を10日連続で掲載した。そして6月25日、26日には福岡市の博多駅前で「GO! 別府おおいたへ行こう」というイベントを開催した。

「また『九州ふっこう割』の効果もあり、昨年の大分県の宿泊客数は結果的に前年比5%減で済みました。非常に厳しい状況の中で、商工会議所を中心に活動を行うことで、今回別府が一つにまとまりました。この経験を生かして、これからも別府温泉の良さをPRしていきたい」と、渡邊専務理事は力を込めて語った。

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