事例5 地元の〝水〟を押し出したい
五洲薬品株式会社(富山県富山市)
環境省選定の名水百選に全国最多の8カ所が選ばれていることからも分かるように、富山県は「水の王国」である。3000m級の山々が並ぶ立山連峰と水深1000m、日本3大深海湾の富山湾。わずか数十㎞の距離で4000mもの高低差がある富山は世界でも有数の名水を生む環境に恵まれている。その地で、水を生かした商品を世に送り出しているのが五洲薬品だ。五洲薬品もまた、新幹線開業を心待ちにしている企業の一つである。
美と健康をテーマとして 水へのこだわりを持つ
昭和21年の創業以来、五洲薬品は富山の地で「生命の根源は太陽と水と緑である」を基本理念に、「美と健康」をテーマに医薬部外品、化粧品、機能性食品・飲料などの商品の企画開発から製造販売までを手掛けている。
同社は、36年に現在の富山市婦中町千里に自然植物研究開発のために土地を購入した。その土地を採掘して、良質のナチュラルミネラルウォーターの湧出が確認されたのが52年のこと。この地の常願寺川水系の湧き水は、古くから健康に良いと評判だった。これをきっかけにして、水事業への本格参入を開始した。
通常のミネラルウォーターは常温充填だが、五洲薬品では加熱殺菌をし、高温充填している。これにより、他のものよりも賞味期限が長いという特徴がある。しかも、湧出している水はケイ酸を多く含みながらも硬度が低い軟水で、乳幼児や高齢者にも負担が少ない。このため、機能性飲料や化粧品などにも幅広く使われている。
新幹線駅構内にアンテナショップを開く
こうした水に対する実績があったことで、五洲薬品は平成8年からは富山県の要請で産学官連携の海洋深層水の研究にも着手。ますます富山の水の専門企業としての地位を固めていく。そんな同社が新幹線開業をどのように生かそうとしているのか、営業推進部部長の藤井良伸さんはこう語る。
「新幹線開業に合わせて『富山かがやき天然水』(500㎖、税抜本体価格110円)を発売しました。前面には新幹線開業マスコットを配置し、側面にはW7系の車両の絵が描いてあります。これを開業から3日間ほどは、富山駅で配ろうかと思っています」
新幹線関連の新商品を発売して終わりというわけではない。もっと積極的に「水の王国」を売り出すことにも取り組んでいる。
「新幹線駅構内の1階に富山の水を扱うアンテナショップを開きます。間口・奥行とも3mほどの狭いスペースですが、富山の名水を並べて展示販売します。それと同時に、海洋深層水から誕生したわが社のバスソルトやバスアロマエッセンスの『富山クオリティ』シリーズ、スキンケアラインの『スキンピュアバランスプラス』シリーズも見てもらえるようにします。この二つは、富山の素材を生かした高級感あふれるものです」
五洲薬品も、北陸新幹線開業とともに新しい時代に入っていくことになりそうだ。
会社データ
社名:五洲薬品株式会社
所在地:富山市花園町1-1-5
電話:076-424-2661
代表者:藤井 侃 代表取締役社長
従業員:120人
※月刊石垣2015年2月号に掲載された記事です。
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